臨床工学技士ってどんな仕事??医療職を目指すならこれ!!

今回は世間での認知度はまだまだですが、病院で非常に重要な役割を多く担っている
『臨床工学技士』
について紹介していきます。

当ブログ経営者も臨床工学技士として働く身ですので、より詳細に紹介できればと思います。

また別記事にて働き方モデルなど実情も紹介できればと考えております。

臨床工学技士とは

臨床工学技士の制度が出来たのは比較的新しく、1987年5月に制定。
「臨床工学技士法※」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。
(※公布 昭和62年6月2日、施行 昭和63年4月1日)
以降、医療機器のスペシャリストとして活躍してきました。

医師の指示の下に生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器の専門医療職種です。

英語表記はClinical Engineerで略称としてはCEと呼ばれます。
正式には間違っているのですが、MEという呼称で呼ばれる施設もあります。

そして機械というワードの強さから、医療機器だけに関わる職種と思われがちですが全然違います

ほぼすべての部署に関わりますし、実際の臨床での役割も多く、手術などの治療にも大きく関わりますし、外来業務にも多く関わります。
医療スタッフの方との多くのコミュニケーションや患者さんとの会話など、病院の潤滑油のような活躍が必要となります。

筆者は学生などに話をする際に私たちの仕事で一番必要な能力はコミュニケーション能力であると説明しています。

また、施設ごとに変わりますが、毎日違う分野の業務に付くことができる可能性があります。
筆者は毎日違う現場で仕事をしているので飽きがありません。
臨床だけでなくデスクワークもあります…。毎日新鮮な気持ちで楽しいですよ!!

代表的な業務

業務としては、現在様々な業務・分野に精通しており、活躍の場が非常に多いです。
中にはまだ法律的に認められていない業務もあり、役割として難しいものもあります。

手術室業務

手術(Pixabayより)
手術(Pixabayより)

手術室で代表的な業務は、臨床工学技士として花形といえる業務である人工心肺があります。
認定資格である体外循環技術認定士の常駐は病院の認定施設の維持にも必要な資格です。

心臓手術の中で心臓を停止させて行う手術では非常に重要となる装置であり、その操作及び操作中の血行動態の管理を行います。
現在では心臓外科の手術を行う場合、臨床工学技士がいることは必須レベルで必要なこととなっています。

その他にはセルセーバーという血液を回収して輸血として使用できるようにする装置や麻酔器や電気メスなどの管理などがあります。
グレーゾーンにはなりますが、器械出しと呼ばれる看護師がメインで行う手術の助手の役割を担う施設もあります。

また、最近認められた業務としては、腹腔内視鏡手術におけるカメラ持ちが認められるようになりました。

カテーテル室

カテーテル室(Pixabayより)
カテーテル室(Pixabayより)

カテーテル室では主に虚血カテとアブレーションと大きく2つの分野に分かれます。

冠動脈造影(CAG)では心臓の血管に対する検査・治療を行う業務で、主にポリグラフと呼ばれる心電図などを監視する装置や血管内エコーの操作、必要物品の物出しや中には清潔な格好になって医師の補助をすることもあります。

アブレーション業務では不整脈に対する治療を行います。
ポリグラフに加えてラボシステムと呼ばれる不整脈の診断装置の操作及び記録、3マッピングと呼ばれる立体的にアブレーションの状況を確認できるシステムの操作も行います。
近年臨床工学技士の役割の重要度が上昇している業務のひとつでもあります。

血液浄化業務

一番従事している方が多い業務です。
人工透析に関わる業務です。腎臓が悪くなった方の中には2日に1度、週に3日は透析をしないと生きていくことができなくなる方がいます。
そういった方々への透析の準備や治療の開始、治療中監視や終了時の処置など開始前から実際に関与します。
日本では生活用水がとても綺麗ということからオンラインHDFといわれる治療が進んでいます。
それを行うための水の清潔度の管理なども重要な業務となります。
実際に針を刺したりしますよー。

医療機器管理業務

院内にある機械を集中管理して貸し出しや点検などを行う業務です。
放射線や検査機器など専門的な機械は管理の対象とならないものもありますが院内にある様々な機械の管理を行います。
医療ガスの管理もこの類となります。医療ガス管理においても委員会設立など義務付けられていることも多いので必要な知識です。

また、医療機器管理責任者を任されることにもなるので、実際にメーカーの人との商談を行うこともあります。
類似機器の比較や見積もり調整など、導入における費用の削減など価格交渉の手腕も必要です。

集中治療業務

病室(Pixabayより)
集中治療室(Pixabayより)

COVID-19の影響により需要が増した人工呼吸器や補助循環装置の管理や操作を行います。
また、臨床工学技士が夜間も含め常駐することでICUの管理加算が獲得できるようになるなど病院においてもメリットがあります。

ペースメーカー業務

ペースメーカー(Pixabayより)
ペースメーカー(Pixabayより)

こちらも役割が大きくなっている業務のひとつです。
ペースメーカーの植え込み時の設定から、植え込み後のチェック、定期外来でのチェックを行います。
医師と相談し設定を変更することもあります。
また、遠隔モニタリングといって自宅から送られてくる情報を異常や変化がないか確認して医師へ報告するものがあり注目を集めています。

睡眠時無呼吸の業務

睡眠時無呼吸症候群の方がCPAPやASVといった機械を自宅で寝る時に使用することになりますがその導入時の説明や使用中のデータを解析し、使用感や設定の変更などを医師と検討します。
また、これにも遠隔モニタリングがあり臨床工学技士の活躍が期待されます。

内視鏡業務

内視鏡には外科領域の腹腔内視鏡というものと消化器領域の上下部内視鏡というものがあります。
現時点では消化器部門の業務は法的に認められていません。

腹腔内視鏡のみ最近業務として認められ、活躍が期待されています。
残念ながら消化器領域に関しては検査技師のみが認められており、そちらの部門に関しては行ってはいけないという各専門領域の学会等の見解となっています。
臨床工学技士会としても生命維持管理装置ではないということで業務に関わることを推奨していませんが、病院の都合などにより従事している技士の方がいるのが現状です。
今後拡大されていくかは不明です。そして認可されるとしても数年後、もしくは十数年後になると考えられます。

高気圧酸素療法業務

大気圧より高い気圧環境の中で、酸素を吸入することにより病態の改善を図ろうとする治療です。
治療中のバイタルの監視や操作などを行います。

今後期待できる業務

今後期待したい業務としては、病院の建物や設備に関してです。
医療ガスだけでなく非常発電機やユーティリティーなど災害時に活躍が見込まれます。
病院自体の老朽化に対してですとか増築、改築、臨時施設など医療の視点を持って介入することが重要とされます。

臨床工学技士になるには

臨床工学技士になるには、臨床工学技士養成校(大学、短期大学、専門学校)において厚生労働大臣の指定する科目を修得し、その後国家試験を受験し合格すると臨床工学技士の免許を取得することができます。

高校卒業後に4年生大学、専門学校に通う場合の他に、医療系国家資格養成所や大学で2年、高専5年課程卒業し指定科目を履修している場合は夜間2年または昼間1年や昼・夜間2年の課程で取得資格を得られる学校もあります。

まとめ

少し簡単ではありますが臨床工学技士について説明いたしました。

現役で働く身としては非常に働きがいのある仕事であると思いますし、将来性も持っている仕事だと感じています。
病院としての重要度は上がっていますし、業務も拡大しています。

最後に目指す方がいればポイントをまとめておきます。

Check!!

・臨床工学技士は治療や手術など臨床現場で多く活躍できる職種!
・様々な分野に関わることができる!
・医療スタッフや患者さんと多く関わるためコミュニケーションが重要な仕事!